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本間チョースケの独断と偏見で巡るイタリアワイン紀行 | vol.5 『ボルゲリの女王 レ・マッキオーレ』

UNCORKを運営するワイン専門商社 株式会社モトックスには、なんと、あの国内外で人気のワイン漫画のキャラクター 本間長介のモデルとなった社員 本間チョースケ が在籍しています。こちらの特集では、本間チョースケが「素晴らしい品質でもっともっと多くの人に飲んでもらいたい!」と思うおすすめの推しワインをご紹介。実際にワインを1本ずつ飲み、改めて向き合って感じた熱い思いとおすすめポイントを直球勝負でお届けします。
熱く語りすぎて、ちょっと文字数が多いのはご愛敬。お忙しい方は、押さえておきたいポイントを途中ご紹介しているので、そちらをご覧ください!
熱く語りすぎて、ちょっと文字数が多いのはご愛敬。お忙しい方は、押さえておきたいポイントを途中ご紹介しているので、そちらをご覧ください!
本間チョースケ プロフィール
本間 敦(ペンネーム:本間チョースケ)
イタリアワインライター
(社)日本ソムリエ協会公認 シニアソムリエ、SAKE DIPLOMA
渡伊50回以上を数え、ワイナリー200社以上を訪問。執筆活動を通じてイタリアワインの魅力を伝える。
専門誌、一般誌でのコメント掲載多数。また、ワインの普及活動の一環として全国各地で講演活動を精力的に実施。
本間 敦(ペンネーム:本間チョースケ)
イタリアワインライター
(社)日本ソムリエ協会公認 シニアソムリエ、SAKE DIPLOMA
渡伊50回以上を数え、ワイナリー200社以上を訪問。執筆活動を通じてイタリアワインの魅力を伝える。
専門誌、一般誌でのコメント掲載多数。また、ワインの普及活動の一環として全国各地で講演活動を精力的に実施。
今回のテーマは、赤ワインの銘醸地 "ボルゲリ"
サッシカイア、オルネッライア、マッセート――世界に名を馳せる偉大なワインが生まれる、トスカーナの銘醸地ボルゲリ。そのボルゲリがまだ注目されていなかった時代から、この土地の可能性を信じ、歩み続けてきた造り手がいる。それがレ・マッキオーレだ。メルロー100%の「メッソリオ」、カベルネ・フラン100%の「パレオ」など、今や世界から高い評価を集める名門となった。では、なぜレ・マッキオーレはこれほど特別なのか。ボルゲリの歴史から、その所以を読み解いていこう。
――アンディアーモ(さぁ、いこう!)!
ボルゲリとは?そのワインの歴史
ボルゲリの位置を日本の住所の様に記せば、イタリア共和国ートスカーナ州ーリボルノ県ーカスタネート・カルドゥチ村ーボルゲリ村落という感じだ。小さな村落であり、南北の距離は約13km、東西の距離は約7kmしかない。海に近く、昔から庶民の(決して高級ではない)海水浴場として知られており、以前はワインも生産されるもののカジュアルなものに終始し、品質が語られることはなかった。
ボルゲリワインの黎明期
サッシカイアの成功を受けて、この地にやってきた黎明期の生産者達のほとんどがこの地域の出身ではないことは驚くべきこと。サッシカイアのマリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ侯爵ですらこの地域の出身ではない。ボルゲリ出身の生産者は、1983年にレ・マッキオーレを設立したエウジェニオ・カンポルミただ一人である。
ボルゲリワインの紆余曲折
~サッシカイアから始まった、格付けの変化~
ワイン産地としては見るべきところのなかったボルゲリであるが、サッシカイアの出現により、ワイン産地として広く世間に認知されるようになった。この地で最初の政府のワイン法による格付けは1983年に行われたが、DOCに認定されたのは、白ワインとロゼワインのみであった。サッシカイアは当時、格付けは無くVDT(ヴィーノ・ダ・ターヴォラ)、つまりテーブルワインとして販売されていたが、卓越した品質であることから高級著名銘柄と同等の価格で取引され、とりわけ英語圏では、スーパー・トスカーナ、スーパー・ヴィーノ・ダ・ターヴォラと呼ばれていた。1980年代後半から1990年代に入るとトスカーナ州以外でもフランス品種を用いるワインが多く出現、もはや、それらが無視できない存在となっていた。政府も重い腰を上げ、1994年、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどフランス品種とのブレンドから造られた赤ワインにも待望の『ボルゲリDOC』が認定され、同時に、新しいサブゾーンである『ボルゲリ・サッシカイアDOC』も認可された。これは テヌータ・サン・グイード社の畑で生産される赤ワインのみ、すなわちサッシカイアのみのDOCであり、画期的なものであった。
~ボルゲリのワイナリーは『ドメーヌ』~
現在、70社を数えるトスカーナ州の銘醸地に成長した。ワイン造りの特徴は全てのワイナリーがブルゴーニュでいうところの『ドメーヌ』であること。つまり、栽培--収穫--醸造--熟成--瓶詰め--販売が、一つのワイナリーで完結している。ボルゲリのワイナリーは一貫生産の為、ワインの独自性、品質の一貫性が担保される。それがユニークで高品質なワインが生まれる由縁である。~充実期に入ったボルゲリの畑~
ボルゲリのトップ6は『グラン・クリュ』
サッシカイアに始まり、ボルゲリワインの黎明期を支えた6社、ポデーレ・グラッタマッコ、オルネッライア、ミケーレ・サッタ、レ・マッキオーレ、グアド・アル・タッソは別格と言っても良いだろう。
さて、ここからはマッキオーレを代表するワインをご紹介していこう。 ――アンディアーモ(さぁ、いこう!)!
レ・マッキオーレのおすすめワイン
ボルゲリを代表する偉大なメルロー
メッソリオ 2022年
かつて、1990年代のスーパー・トスカーナワインブームではとにかく、強烈なフルボディがワインガイドで高評価を得て、もてはやされていた。1994年がファーストヴィンテージのメッソリオもまた、印象的なフルボディであった(ラベルも現在と異なる)。当時、メッソリオ1995年とラトゥール1995年を飲み比べたことがあるが、メッソリオの方が濃く力強くて驚いた。しばらく毎年このワインを追いかけたが、味わいがエレガント路線に大きく舵を切ったのは2001年ヴィンテージからである。まさにエレガンスを感じさせる長い余韻の貴婦人の様なワインに変貌を遂げたのだ。
尚、2002年、創始者であるエウジニオ・カンポルミ氏が惜しまれつつ、この世を去り、ワイナリーは妻であるチンツィア・メルリ女史に引き継がれ、ワイン造りも彼女の意思--つまりエレガンスを感じさせるワインへと変化していった。
2022年のメッソリオは暑い夏を感じさせない、涼やかなワインである。フレッシュなタッチで滑らかな質感。球体をイメージさせるフルボディであるが、表面(ファーストタッチ)は瑞々しくたおやかであるが、飲み進めて中心に近づくほどに集中度が高まり、深淵な味わい、長い余韻に感銘を受ける。果実味は赤や黒果実が交錯するが、熟したニュアンスは感じさせず、気負った部分は微塵もなく、無駄のない、そして一環として涼やかなまなざしを飲み手に向けるワイン。まさに『ボルゲリの女王』と呼ぶにふさわしい。
ボルゲリで大輪の花を咲かせた、カベルネ・フラン
パレオ ロッソ 2022年
サンテミリオンの偉大なワインを除けば、主役になることの少ないカベルネ・フラン種であるが、ボルゲリで見事に大輪の花を咲かせた。カベルネ・フランと聞いて、特にロワールのものはピラジンが際立つし、サンテミリオンでもよほど上手に造らないと、ハーヴやヴェジタブルのノートが出てしまう。ブドウは完熟することが出来き、カベルネ・フランはフランスのそれとは異なり、豊満で果実味豊かなワインとなり、ごく僅かにハーヴのニュアンスも感じるが、かえってそれがワインのフレッシュ感や涼やかなニュアンスを演出させる要素として好感が持てる。
パレオはトスカーナ州きって、いやイタリアを代表するカベルネ・フランから造られる銘醸である。2010年以降の最近のヴィンテージのパレオは隙がない。偉大なワインを毎年産出し続けている。特に暑いヴィンテージのワインは出色で、従って2022年も素晴らしい。果実味たっぷりであるが、過剰感や緩みは全く感じられず、スタイリッシュで洗練されている。
リリースしてすぐに楽しめるフレンドリーなワイン
ボルゲリ・ロッソ 2024年
ボルゲリ・ロッソはチンツィア女史の代になって、2004年にリリースされたワインである。私の理解ではセカンドワインという位置づけであるが、ワイナリーでは、専用の畑があり、赤ワインとしては唯一のブレンドのワインであり、独立した個性を持つワインとして紹介している。
リリースしてすぐに楽しめるフレンドリーなワインで、ワイナリーで取り組んできた有機栽培が功を奏し始め、たおやかで柔らかいタッチ、瑞々しさ、若々しさが際立って感じられるワインとなった。ボルドーブレンドであることを忘れてしまうほどに、流麗で滑らかなワインで何のストレスもなく、スルスルと杯が進む。毎日飲むにはちょっと高いが、是非ご家庭で、週末に少し奮発して、少し贅沢な食材やお料理と楽しんでほしいワイン。
尚、2024年からは地球温暖化の影響を考慮し、ワインの特徴であるフレッシュなキャラクターを維持する観点から、フランス品種にはない酸味を持つ品種、サンジョヴェーゼを2%ブレンドしている。
さて、今回はこのあたりで。 またグラスを片手に、お会いしましょう。Ciao Ciao --チャオチャオ!













