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ザ・ジャンシス・ロビンソン ワイングラスコレクション

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本間チョースケの独断と偏見で巡るイタリアワイン紀行 | vol.4 『マイナー産地の銘醸ワイン』

本間チョースケの独断と偏見で巡るイタリアワイン紀行 | vol.4 『マイナー産地の銘醸ワイン』

公開

UNCORKを運営するワイン専門商社 株式会社モトックスには、なんと、あの国内外で人気のワイン漫画のキャラクター 本間長介のモデルとなった社員 本間チョースケ が在籍しています。こちらの特集では、本間チョースケが「素晴らしい品質でもっともっと多くの人に飲んでもらいたい!」と思うおすすめの推しワインをご紹介。実際にワインを1本ずつ飲み、改めて向き合って感じた熱い思いとおすすめポイントを直球勝負でお届けします。

熱く語りすぎて、ちょっと文字数が多いのはご愛敬。お忙しい方は、押さえておきたいポイントを途中ご紹介しているので、そちらをご覧ください!

本間チョースケ
本間チョースケ プロフィール
本間 敦(ペンネーム:本間チョースケ)
イタリアワインライター

(社)日本ソムリエ協会公認 シニアソムリエ、SAKE DIPLOMA
渡伊50回以上を数え、ワイナリー200社以上を訪問。執筆活動を通じてイタリアワインの魅力を伝える。
専門誌、一般誌でのコメント掲載多数。また、ワインの普及活動の一環として全国各地で講演活動を精力的に実施。
まとめポイント

今回のテーマは、マイナー産地の銘醸ワイン

有名産地だけで満足するのは、少々もったいない。

イタリアワインと聞けば、バローロ、キャンティ、アマローネ。このあたりを思い浮かべる方が多いだろう。もちろん、どれも素晴らしい。しかしイタリアには20もの州があり、その土地ごとに気候も違えば、栽培されるブドウも違う。華やかな有名産地の陰には、知名度が低い故になかなか日本までやって来ないワインが山ほど眠っているのである。 今回は、アルプスの山岳地帯から南イタリアの内陸部、さらに地中海に浮かぶ火山島まで、少々マニアックだが実に面白い3つの産地を巡ってみたい。

――アンディアーモ(さぁ、いこう!)!



イタリア最小のワイン産地、ヴァッレ・ダオスタ州

ポイント
ヴァッレ・ダオスタ州は、イタリア20州の中で最小の州で、ワインの生産量も最も少ない。北はスイス、西はフランスと国境を接し、周囲にはマッターホルン、モンテ・ローザ、モンブランといった4,000m級の名峰がそびえる。登山やウインタースポーツがお好きな方にはおなじみの、まさにアルプスの山岳地帯だ。公用語はイタリア語の他にフランス語が認められており、古代ローマ時代からフランスとの交易を支える要所である。

急斜面でのブドウ栽培

ポイント
ブドウ畑は、ドーラ・バルテア川沿いの切り立った斜面に広がっており、フランス国境に近い地域では、実に標高800m~1200mの畑もある。昼夜の寒暖差は大きく、冬には雪が積もる大変冷涼な気候。州の約60%が山岳地帯、約35%が丘陵地であるため、畑は急斜面にあり作業は困難を極める。石垣を築いて土砂の流出を防ぎ、段々畑を形成。ブドウは、テンドーネ(テント仕立て)と呼ばれる棚仕立てを中心に栽培されている。
かつては赤ワインが大半を占めていたが、近年は白ワインの評価が高まり、現在では生産量の約40%にまで増えている。日本への輸入量は極めて少ないが、清潔感のある味わいと豊かな香りを備えた白ワインは、もっと知られてよい存在だ。

小さい畑を、小さな協同組合が丁寧に守る

ポイント
畑は世襲により分割されるため、1つの農家が保有する畑の大きさは1ha前後である。そのため、生産協同組で運営されることが多いが、それでも規模は数十ha規模と小さい。その分、小さいながらも畑ごとの細かな手入れが行き届き、品質の高いワインが多いのもこの州の特徴である。

ヴァッレ・ダオスタ州のおすすめワイン

前菜からメインまで、頼れる白

ヴァッレ・ダオスタ ピノ・グリ

まとめポイント
フランス語圏なので、ピノ・グリージョではなく「ピノ・グリ」と呼ぶ。このあたりにも国境の土地らしさが表れていて面白い。 色調のゴールドにグリ種の果皮の特徴であるピンク色のニュアンスも見て取れる。赤いリンゴ、洋梨、缶詰めのパイナップルと言った果実や、カモミールの様な白い花のアロマ。充実した熟れた果実の味わいで、飲み応えがある。暑い夏はこのようなしっかり目の白をよく冷やして飲めば、赤ワインを用意せずとも食事の最初から最後まで楽しめる。(2026年7月試飲)

カーヴ・デ・オンズ・コミュヌ

造り手のカーヴ・デ・オンズ・コミュヌも生産協同組合であり、その名の通り、11の村落(Frazione)に畑を持つ州最大級のワイナリーである。その畑の標高は550m~800mの冷涼な斜面にあり、その区画に合ったブドウが植樹され、主に単一品種のワイン中心に醸造している。
ヴァッレ・ダオスタ ピノ・グリ
生産地:イタリア/ヴァッレ・ダオスタ 生産者:カーヴ・デ・オンズ・コミュヌ 価格:3,905円(税込)

カンパーニャ州を支える一大ワイン産地、サンニオDOC

ポイント
地図
カンパーニャ州ベネヴェント県は、南部アペニン山脈の一部であるサンニト・アペニン山脈の中心部に位置。ティレニア海側とアドリア海側を結ぶ境界地帯で、南はアッヴェリーノ県、西はカゼルタ県、北はモリーゼ州、東はプーリア州に接している。
ベネヴェント県のほぼ全域を含むワイン産地が、サンニオDOCである。この地域には約1万haのブドウ畑があり、ワイン産業に携わる人は約7,900人。約100のワイナリーが存在し、年間の生産量は100万ヘクトリットル以上。ボトル換算すれば、約1億本に及ぶ生産ポテンシャルをもつ。これによりベネヴェント県は、カンパーニャ州でワイン生産量1位を誇り、カンパーニャ州のブドウ栽培面積とワイン生産量の約半分を占める、一大ワイン産地である。

DNA解析で判明。ファランギーナは一つではなかった

ポイント
ファランギーナは、カンパーニャ州を代表する白ブドウ品種のひとつだ。 カンパーニャ州のファランギーナには、大きく二つの系統がある。一つは、ナポリの西に広がる火山地帯、カンピ・フレグレイDOCの「ファランギーナ・フレグレア」。もう一つは、内陸のサンニオDOCで栽培される「ファランギーナ・ベネヴェンターナ」である。
長らく同じ品種と思われていたが、近年のDNA解析の結果、各々別の品種であることが判明した。フレグレアはアロマティック品種なのに対し、ベネヴェンターナはミネラル、酸味推しの品種。従って、樽を使用しないクリーンな白ワイン、あるいはスプマンテの醸造にはうってつけで、今回のおすすめワインは、まさにその特徴を生かしたものである。


サンニオDOCおすすめワイン

このミネラル感、まさに一服の清涼剤

ノーヴェ・オット・チンクエ ファランギーナ スプマンテ ブリュット

まとめポイント
サンニオを代表するカンティーナ・ディ・ソロパーカが造る、ファランギーナ・ベネヴェンターナのスプマンテ。アロマは白い花や柑橘系を連想させるが、穏やかで控えめである(饒舌なアロマはときに食事の邪魔をしてしまう)。心地よいリンゴ酸の効いた味わいで後味にはミネラル(塩味)も感じる。まさに夏にうってつけ。
疲れた胃腸を活性化させ、食欲をそそるワインで、ピザやパスタ、リゾットなどには勿論、和食全般にきっとうまく寄り添うはず。(2026年7月試飲)

カンティーナ・ディ・ソロパーカ

カンティーナ・ディ・ソロパーカは、カンパーニャ州で最も古い生産協同組合の一つである。ソロパーカ村を中心に、周辺16自治体にまたがる約1,100haの畑を管理し、年間約10万ヘクトリットルのワインを生産している。 この地域では、1974年にサンニオ地方で初めてDOCに認定された「ソロパーカDOC」のワインが造られている。栽培されている品種は、ファランギーナ、アリアニコ、グレコ、フィアーノ。近年では、コダ・ディ・ヴォルペやバルベーラといった伝統的なブドウ品種も再評価されている。
ノーヴェ・オット・チンクエ ファランギーナ スプマンテ ブリュット NV
生産地:イタリア/カンパーニア 生産者:ソロパーカ 価格:2,970円(税込)

二つの死火山からなる島、サリーナ島

まとめポイント
シチリア島の北東に浮かぶエオリア諸島は、7つの小さな島からなる世界遺産である。なかでも有名なのは、現在も火山活動を続けているストロンボリ島であるが、今回ご紹介するワイン産地はサリーナ島。ここもかつては活火山であった二つの死火山からなる島である。風光明媚な島で、映画『イル・ポスティーノ』の撮影場所となった。ここでは、果実味豊かなネレッロ・マスカレーゼが栽培されている。

世界を魅了する、ネレッロ・マスカレーゼ

ポイント
ネレッロ・マスカレーゼとは、シチリア州カターニア県のマスカリ村にちなんで名付けられた黒ブドウ品種である。色調は淡いものの、糖度が高いため、アルコール度数の高いワインとなる。かつてはそのアルコール度数の高さ、搾汁率の高さからブレンド用ワインとして珍重されていた。

2000年代に入ってからのエトナワインブーム巻き起こり、一転、いきなり大注目の品種となった。標高の高いエトナにおいては、ブドウが良質な酸を湛えるため、出来上がるワインは平地のそれとは異なり、ブルゴーニュを彷彿とさせるエレガントスタイルとなる。 一方、シチリア最古のDOCであるファーロDOCは、ティレニア海に面した穏やかな傾斜の産地で、海風と夜間の気温の低下、さらにエトナからもたらされた火山性土壌により、素晴らしいワインが産出されるが、僅かに3生産者しか存在しない。ワインはエトナよりも果実味豊かなタイプである。しかしながらその人気ゆえ、エトナ、ファーロ共にお値段はそれなりに高価である。

そこで注目したいのが、サリーナ島で生まれるネレッロ・マスカレーゼだ。

サリーナ島のおすすめワイン

海を臨むテラスで飲みたい

コローシ サリーナ・ロッソ

まとめポイント
サリーナ島で家族経営を続けるカンティーネ・コローシが、ごくわずかに生産するこだわりの赤ワイン。しかも手に取り易い価格が嬉しい。品種ネレッロ・マスカレーゼを主体に、ネレッロ・カプッチョを補助品種としてブレンドしている。
前述の通り、エトナの様な標高の高さはないため、ワインは果実味押しである。涼やかなチェリーレッドの色調、熟れたイチゴや、プラム、カシスのフレーヴァー。夏は冷やして飲むのがお薦めである。タンニンは穏やかで、味わいに果実由来の甘みを感じるため、それ自体でワインを使ったカクテルのようである。海を臨むテラスに想い馳せ、物思いにふけるのもよい。(2026年7月試飲)
コローシ サリーナ・ロッソ
生産地:イタリア/シチーリア 生産者:コローシ 価格:4,015円(税込)

有名でないからこそ、面白い

今回紹介したのは、アルプスの急斜面、南イタリア最大のワイン産地、そして地中海に浮かぶ火山島。気候も土壌も、造られるワインの味わいも、見事なほど異なっている。 マイナー産地という言葉から、地味なワインを想像してはいけない。日本での知名度が低いというだけで、品質まで控えめなわけではない。 むしろ、有名産地の名前や評価に先入観を持たず、その土地と品種の個性を純粋に楽しめる。そこに、マイナー産地のワインを選ぶ面白さがある。 まだ知らないイタリアの風景を、まずはグラスの中から旅してみてはいかがだろうか。

さて、今回はこのあたりで。 またグラスを片手に、お会いしましょう。Ciao Ciao --チャオチャオ!

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