シャトー・ラコサード・サン・マルタン
ボルドーの白ワイン、と聞くと「軽くてさっぱりとした味わい」を想像される方も多いと思います。事実、ボルドーの白ワインはソーヴィニヨン・ブランを主体とした、酸味がしっかりと効いた、爽やかなスタイルのものが多いのです。
ところがここのシャトー、ソーヴィニヨン・ブランの比率はわずかに10%!残りの90%は、セミヨンという品種を使っています。それはなぜでしょうか。
オーナーのシャルダ氏は、「ボルドーで最も偉大な白ワイン、つまりシャトー・ディケムはセミヨンで造られているでしょう?セミヨンには熟成のポテンシャルがあるんだよ」と語ります。
ソーヴィニヨン・ブランという品種は、早い時期に収穫しておかないと、その特徴であるしゃっきりとした酸味と爽やかなアロマが失われてしまいます。対してセミヨンの場合、遅く収穫することができるため、十分に完熟したブドウを得ることができます。そうすることで、凝縮感のある、厚みのあるボディに仕上がり、樽で熟成させても素晴らしいバランスを保つことができるのです。
「ペサック・レオニャンに匹敵する、白のグラン・ヴァンを造りたいんだ。そのためにセミヨンという品種にこだわっているんだよ。もちろん、この畑のテロワールがあってこそだけどね。」そう語るシャルダ氏の目は、とても生き生きとして、まるで少年のようです。